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「帰ってきたヒトラー」 [本とかコミックとか]

えー、新年早々、一本目がこの本の紹介ってのはどうなんでしょうね。

今年のお正月も娘の下宿で独りぼっちで迎えたわけですが、
ひとりポツンと部屋にいて退屈してガサ入れなどしないように、
娘が「退屈したらこれをどうぞ」と、本を渡すわけです。

あの娘が読書!あんなに読書をバカにしていた娘が読書!
小説なんてどうせ作り話でしょ、と言っていた娘が
フィクションの本を自腹で買って読む(それも最後まで)とは!
いやー人体の不思議、ヒトの成長って素晴らしい。
・・・などと思いながら、いったいどんな本を買って読んだのかね、
という興味本位で読み進むのですよ。

ちなみに娘はみっちり巫女バイト、おっと間違えた「助勤さん」である。
ダンナはダンナ実家に行って普段できない場所の掃除をして、
年が明けたら甥っ子たちにお年玉をあげてくるという任務に携わっている。


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帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

  • 作者: ティムール・ヴェルメシュ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/23
  • メディア: ペーパーバック



そんなわけで「帰ってきたヒトラー」。

死んだはずのヒトラーが、なぜか現代のドイツの公園で目を覚ます。
なんかよく覚えてないけど、着ている制服がガソリン臭い。
いったいここはどこだ・・・?

そんなところから始まる話で、最初から最後まで一人称で、
本人の目から見た物語が語られる。

本人はあくまで本物のヒトラーなんだけど、
周囲の人たちは見た瞬間に、ソックリさん芸人として扱うわけです。
そりゃそうだよね。
対象になりきるタイプの芸人という扱いで、
当人はいたって真面目に本気で本音の話をしているんだけど、
全て「素晴らしい成り切りっぷりだ」と評されて、
生来の演説のうまさを生かして、YouTubeで人気になるのです。

年取ったおっさんの昔語りが、ときどきうざったくなるけど、
本当によくできた妙にリアリティのある話だなと思いました。

魅力ある人物だとは私は思わないけど(気が合わないわー)、
考え方の近い人は現実にいると思うし、
自分は当時、民主的な選挙で選ばれたのだ、という主張も
たしかにその通りではあるよね、などと納得するところも多く、
極右政党の事務所にテレビカメラを連れて突撃インタビューに行く場面など、
エンタテインメント小説として十分に楽しめるブラックコメディーなお話でした。


帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

  • 作者: ティムール ヴェルメシュ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/23
  • メディア: ペーパーバック




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「砂の女」 [本とかコミックとか]

安部公房の「砂の女」。
すごく有名な小説ですけど未読でした。

ちょうど、ものすごく風の強い日に読んだんです。
風のビュービュー吹く音を聞きながら読んだらもう怖いのなんのって。

ずっと昔この小説の紹介で、
妖艶な女が蟻地獄の底にひそんで男を捕らえる幻想的な話、
というのをどこかで読んだ気がするのですが、
そういう話かと思って読み進めたら、
思ってたのと全然違った。
映画が作られてるらしいので、映画版の評だったのかも。

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都会からやってきた主人公の男が囚われる。
土地の老人に騙されて、脱出不可能な家で
逃げられない状況になるのです。

苛烈な自然環境での貧しい暮らしと、
田舎の小さな町での閉ざされた慣習と、
苦しい生活に耐えるしかない素朴で哀れな女と、
腐りそうな倒壊しそうな木造の家。

男は何とか逃げようと策をめぐらす。
はたして男はそこから逃げることができるのか。


砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

  • 作者: 安部 公房
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/03
  • メディア: 文庫



日々積もる砂をスコップで毎日掘らないといけないとか、
砂が吹き荒れて前がよく見えないような描写には
札幌(前の前の前の家)での雪を思い出しました。
その日を生きていくのが精一杯で、
そこから逃げ出すためのお金もエネルギーも無い、
という「女」の状況には説得力がありました。

で。
主人公の男が逃げ出せるのかどうかが問題なんだけど、
なぜ主人公は自信満々に助けてもらえると思ってるのかなと
途中でハラハラしてしまいました。
だって最初から失踪させるつもりなんですよ。
一生砂を掘らせる奴隷にするんだから、
死んでしまえばそのまま砂に埋めてしまえばいいじゃないですか。
女の死んだ夫と子供は埋まったままなんでしょう?

インテリ面して無駄なあがきを続ける男と、
その間も黙々と生きていくための労働を続ける女。
こういう場所では腕力と体力と地縁が大事ですよね。

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この小説を学生時代に読まなくて良かった。
若いときに読んでいたら、
労働に対する認識が悪い方に変わったかもしれない。


定年後は温暖で暮らしやすく、
そこそこ都会な場所に住みたいな。



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「捨てる女」 [本とかコミックとか]

「身体のいいなり」に続いて、次は「捨てる女」を読んでみた。
ところが。なんと同じ著書であるにもかかわらず文章がまるで違う。
文章というか文体というか、「身体のいいなり」とはかけ離れたとても読みにくい文章であった。はっちゃけた口語体で書くにしてももう少しやりようがあると思う。個性を打ちだそうとしたんだろうか。いっそのこと、本人に書き直して改訂版を出して欲しいくらいだ。

で、勝手に、断捨離の過程を書いた本なのかと誤解した私がいけないんだけど、「捨て暮らし」なんて言う割にはぬるい。食料品の整理をするのは誰でも一般的にしていることで、乾物は使うか捨てるかするしかないし、サハリンのおばあちゃんがくれたという砂糖どっさりのバラ科のジャム(木イチゴとかベリー類?)や梅酒の梅なんかは20年くらいは余裕でいけるから、12年!もはや別の生き物に、とかいわれても、別に~って思っちゃうし、ちなみにこのあいだ私は15年くらい前に買ったマーマレードをついに処分したのだが、冷蔵庫にずっと入れてたから砂糖ががっちり分離して固まってたけど味は大丈夫だったよ、って関係ないね。

豚を飼うにあたって借りた廃屋の大量のモノを処分するのだって、そりゃ捨てるでしょ。他人が夜逃げして残していった荷物、使う人なんていないでしょ。整理するのが大変だったのは分かる、というか想像できるけど、そのあたりをもっと書いてくれたらいいのに、自分が退居したあとにタイ人のスナックになってたあたりになんであんなにページを割くかね。っていうかどうでもいいよ・・・読んでて楽しいわけでもないし・・・。

この方は結局何を持っていたのかというと、大量の図録と、大量の製本の材料と道具と、御自身で描かれたイラスト20年分と、羊皮紙や和紙などの材料を使った美術品と言えるような古い蒐集本を山のように。
何度も何度も、都内の狭い部屋に沢山の本棚、細い道を残して床には本が積み上がり、と書いていらっしゃったが、大量に処分した後に引っ越す先として必要な条件が、「最低七棹か八棹の本棚が置ける壁が欲しい。それと本棚の面から最低六十センチの空間が欲しい。でないと並べた本を見ることができないから。」とな。これを23区内で。減らした後ですよ。

都内の狭い部屋・・・。この人にとって狭くない家というのはどういう家をいうのであろうか。ああそういえば豚を飼うために借りた家は、20畳くらいの厨房があるのでしたね・・・。
「身体のいいなり」でも「捨てる女」でも、貧困だのお金がないだのおっしゃってるが、その家に住んでアパートも借りて寝るための中古マンションをキャッシュで買って、ええとそれからどうだっけ、一度時系列にしてみないとよくわからないけど、とりあえずウチよりだいぶ収入がありそうなことだけは理解した。貧困って、どのくらいのラインからを言うんだろう。

ご実家は鎌倉なのだそうで、大物の荷物はそちらで預かってくださる。実にうらやましい。二十代の前半の頃のエピソードとして、小学校時代の答案や作品を半分にしてくれと言われて、「普通親って、そういうのって取っておきたいものなんじゃないのかね」、と書いていらっしゃるが、小学生の頃の答案や作品を二十歳過ぎまでどさっととっておく方が珍しいと思うんですけどどうですか。せいぜい出来のいいやつを、ちょいちょいっと取っておくくらいだと思うんですけど。・・・うち?私の実家にはもう私のモノはありませんよ。兄のモノはありますがね。先日、私の卒業証書を捨てるというので引き取ってきて、それで最後だと思います。


捨てる女

捨てる女

  • 作者: 内澤 旬子
  • 出版社/メーカー: 本の雑誌社
  • 発売日: 2013/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


この本の中で最も見るべきところは、蒐集本についての記述でしょう。どんなに魅力的で希少な本であったか、どんな面白そうな図録を持っていたか。私は「チベットの薬草処方をまとめた豪華図録」ってのが見てみたい。ウィリアムモリスの本も、そりゃ欲しくなるよね。
しかしながら羊皮紙で出来た、カリグラフィと細密画たっぷりの古い本って、美しくて魅力的だけど(私も昔欲しいと思ったけど)、なんか宿っていそうじゃないですか?牛の血を固めてできた表紙の祈祷書とか、怪しげな人形とか、そんなのがみっちり詰まった部屋に寝起きしてたら、そりゃ具合も悪くなりますって。

大量の蒐集本と20年分のイラストを、展示即売会を開いて売って処分したところが、著者のいうところの「捨て暮らし」のピークのようだ。しかしながら、捨てが終わったと言いながら、元配偶者のところにまだ残してあるものがある、というのは理解不能。


まあそんなわけで、
読んでいるとどんどん自分が狭いウサギ小屋に住む哀れな半病人に思えてくる(・・・はっ!書いて気がついた。これって事実なのか?まったく気づいてなかった・・・)ところがなんだかなあであったが、収穫もあった。

モノを減らして、生き物が飼いたくなったんだそうだ。
そこで白ヤギさんなのね!
うれしい。そうすぐには食べちゃわないよね。
きっとヤギ乳を採るのでしょう。
楽しみだ。



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